著=岡﨑乾二郎
寄稿=中村麗、ぱくきょんみ
表紙:クロス布貼り/124頁
★出版記念トーク アーカイブ動画特典付!
このストアにてご購入いただいた方限定で、
12/12(土)に開催された下記のオンラインイベントのアーカイブ動画をお付けします。
書籍をお手元に、貴重なトークをぜひお楽しみください。
●●色彩と反射のトピカ●●
〜 岡﨑乾二郎 新作画集『TOPICA PICTUS とぴかぴくたす』と新作絵本箱『Kur Kur Spinning under the earth / 地の底のくるくる』の刊行をめぐって 〜
◎ゲスト:岡﨑乾二郎
◎聞き手:高橋明彦(金沢美術工芸大学教授)
※商品の発送の際に動画へのリンクURLを添付します。
※動画はYouTubeの限定公開となります。
※動画の公開期間は2021年6月末までとなります。
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TOPICA PICTUS とぴかぴくたす について
岡﨑 乾二郎
絵画を類的存在として考えれば、絵画はどれも絵画であることにおいて同じ、とみなされもしよう。であれば、個々の絵画をなお制作しなければならない切実な動機も失われてしまう。人間という類に人という存在を還元してしまうと、個々の生のかけがえなさが失われてしまうのと同じである。
つまり個々の絵が制作されなければならないのは、それぞれが類的存在としての絵画を超えた固有の問題=主題を抱えているからである。世界にさまざまな場所があり、無数の考えるべき問題=トピックがあるように、絵画はそれぞれ固有の問題、特別の場所に向き合って制作される。けっして他に換えることができない切実さがそこにある。(個々の絵を固有なものとして現前させる問題は無数にある、そしてこの無数の固有な場所、独自な問題のネットワークがこの世界を編み上げている、だから世界を一つの時間、空間に括ることは決してできないだろう。ゆえに世界は決して終わらない)。
2020年の3月からアトリエに籠り、いままでになく集中し作品を制作した。絵画の制作とはその都度、異なる固有の場所を引き寄せ、そして探索することである。絵画が絵画でしかないこと、つまり絵画は絵画をおいてどこにも行けない、その条件に留まることがかえって絵画を通してどこにでも行けること、つまり絵画がなおそれぞれ固有の絵画でありうることの可能性であったことを強く実感した。
TOPICA PICTUS のTOPICA はアリストテレスの弁論術の書名(弁論はそれぞれ別の規範をもった場所=トポスにしたがっていると示した)より。
https://kenjirookazaki.com/jpn/202009_topica